四つ葉の栞

美紗樹の聴力は、少しずつ低下していった。

病院で家族と話し合い、聴覚障害のある生徒が学ぶ学校へ転校することを決める。

最初は嫌だった。

「先輩と離れたくない。」

「本屋にも行けなくなる。」

その気持ちばかりが大きかった。

転校の日。

本屋へ立ち寄ると、蒼はいつものように笑って迎えてくれる。

美紗樹は転校することを伝える。

蒼は驚きながらも、

「新しい場所でも、本は君の味方だから。」

と優しく言う。

美紗樹は涙をこらえて、本屋を後にする。



新しい学校では、初めて日本手話を日常的に使う友達と出会う。

「おはよう。」

「一緒にお昼食べよう。」

声ではなく、手で交わされる会話。

最初は戸惑う美紗樹だったが、友達に教わりながら日本手話を覚えていく。

「手話って、こんなに温かい言葉なんだ。」

そう思えるようになる。

一方、蒼も一人で手話の勉強を続けていた。

「いつか、美紗樹ともっと自然に話せるように。」

その想いだけを胸に。