ゆっくりと重なる時間
しばらくすると、愛斗の母・輝美、祖母、叔母、それに弟がそろって姿を見せた。美登里はすぐに立ち上がり、丁寧に頭を下げて挨拶を交わす。柔らかく落ち着いた物腰に、皆も自然と笑顔で応えた。
一通りの挨拶が済むと、美登里は輝美に向き直り、穏やかな声で切り出した。
「お母さん、よろしければ愛斗くんともう少し一緒にいたいのですが。私が責任を持って送り届けますので、よろしいでしょうか?」
輝美は少し驚いたように瞬きをし、すぐに柔らかく頷いた。
「ええ、いいんですか? ご迷惑ではないですか?」
「はい、大丈夫です。むしろ私の方からお願いしているくらいですから」
その言葉を聞いた愛斗は、思わず顔がぱっと明るくなり、心の中で小さく喜びを噛み締めた。皆に別れを告げた後、二人は近くの喫茶店へ入り、ふわりと焼き上がったクロワッサンを一緒に食べた。それから街を歩き、二時間ほどゆっくりと買い物を楽しんだ。
店と店の間を歩きながら、愛斗は胸の奥に溜まった想いをどうしても伝えたくなった。心臓が少し速く打つのを感じながら、立ち止まって美登里の方を向き、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「美登里さん… 俺、ずっと前から思っていました。体が弱くて、話すのも遅くて、普通の人とは違う俺だけど… あなたのことが心から好きです。真剣にお付き合いしてもらえませんか?」
美登里は目を細め、愛斗の緊張した様子を優しく見つめると、柔らかく笑って頷いた。
「はい、もちろんです。私も愛斗くんのことが大好きです。これから二人のペースで、ゆっくりと歩いていきましょう」
告白が受け入れられた瞬間、愛斗の胸は温かい幸せでいっぱいになった。すぐに母に電話をかけ、今日は帰らずに美登里の家に泊まることを伝えると、輝美は安心したように「わかった、無理だけはしないように」と言ってくれた。
美登里の家に着くと、愛斗は玄関で丁寧に頭を下げた。
「お邪魔します」
「どうぞ、ゆっくりしてくださいね」
扉を閉めるなり、二人は互いの腕を伸ばして柔らかく抱き合い、そと唇を重ねた。長くは続けず、愛斗の体に負担がかからないように、優しく触れ合うだけの口づけを交わす。
リビングから寝室へ移ると、愛斗は美登里をベッドにそっと横にさせ、また唇を重ねた。胸を強く押さないように、背中と肩を柔らかく包み込むように腕を回し、ゆっくりと抱き寄せる。
二人は布団の中で体を寄せ合い、静かに抱き合っていた。美登里はそっと手を伸ばし、愛斗の胸元にそっと掌を置く。規則正しいが少し速い鼓動が、指先から伝わってくる。
「愛斗くん、心臓がどきどきしてるわよ」
愛斗は照れくさそうに笑い、美登里の肩に頬を寄せた。
「美登里さんと一緒にいるからですよ。こんなに幸せな時間、初めなんです」
再び柔らかく口づけを交わし、やがて二人は体を休め、静かに眠りについた。
朝になり、窓から柔らかな日差しが差し込むと、愛斗は目を覚ました。今日は仕事の日だ。慌てずにゆっくりと身支度を整え、美登里と一緒に家を出た。
送迎バスの待ち合わせ場所であるミニストップへ着くと、二人は店内でカフェオレを買って飲みながら、他愛のない話をした。そんな穏やかな時間が流れる中、遠くからバスが近づいてくるのが見えた。
愛斗は立ち上がり、美登里に向かって笑顔で言った。
「じゃあ、いってきます」
「バスが来るまで、一緒に行きましょうか」
「はい」
二人は並んでバスの停車位置へ歩き、ドアが開くと、運転手の荒尾と上田が顔を出した。愛斗が乗り込もうとする前に、美登里は丁寧に頭を下げて挨拶をする。
「おはようございます。末山愛斗の恋人の辛島美登里です。いつも愛斗のことをお世話になっています」
二人の運転手は一瞬目を丸くし、顔を見合わせた。
「えっ? 辛島美登里さん? 似てるなあと思ったら…」
「はい、本人です。今日はすっぴんで失礼しています」
慌てて驚きながらも、二人は丁寧に応える。
「いやいや、こちらこそ! 愛斗くんのことは安心して任せてください」
愛斗は美登里に手を振り、バスの中へと乗り込んだ。窓から手を振ると、美登里も笑顔で手を振り返す。バスがゆっくりと動き出すまで、彼女はその場に立って見送ってくれていた。愛斗は胸の中に、一日分の温かな活力をしっかりと詰め込んで、仕事場へと向かった。
しばらくすると、愛斗の母・輝美、祖母、叔母、それに弟がそろって姿を見せた。美登里はすぐに立ち上がり、丁寧に頭を下げて挨拶を交わす。柔らかく落ち着いた物腰に、皆も自然と笑顔で応えた。
一通りの挨拶が済むと、美登里は輝美に向き直り、穏やかな声で切り出した。
「お母さん、よろしければ愛斗くんともう少し一緒にいたいのですが。私が責任を持って送り届けますので、よろしいでしょうか?」
輝美は少し驚いたように瞬きをし、すぐに柔らかく頷いた。
「ええ、いいんですか? ご迷惑ではないですか?」
「はい、大丈夫です。むしろ私の方からお願いしているくらいですから」
その言葉を聞いた愛斗は、思わず顔がぱっと明るくなり、心の中で小さく喜びを噛み締めた。皆に別れを告げた後、二人は近くの喫茶店へ入り、ふわりと焼き上がったクロワッサンを一緒に食べた。それから街を歩き、二時間ほどゆっくりと買い物を楽しんだ。
店と店の間を歩きながら、愛斗は胸の奥に溜まった想いをどうしても伝えたくなった。心臓が少し速く打つのを感じながら、立ち止まって美登里の方を向き、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「美登里さん… 俺、ずっと前から思っていました。体が弱くて、話すのも遅くて、普通の人とは違う俺だけど… あなたのことが心から好きです。真剣にお付き合いしてもらえませんか?」
美登里は目を細め、愛斗の緊張した様子を優しく見つめると、柔らかく笑って頷いた。
「はい、もちろんです。私も愛斗くんのことが大好きです。これから二人のペースで、ゆっくりと歩いていきましょう」
告白が受け入れられた瞬間、愛斗の胸は温かい幸せでいっぱいになった。すぐに母に電話をかけ、今日は帰らずに美登里の家に泊まることを伝えると、輝美は安心したように「わかった、無理だけはしないように」と言ってくれた。
美登里の家に着くと、愛斗は玄関で丁寧に頭を下げた。
「お邪魔します」
「どうぞ、ゆっくりしてくださいね」
扉を閉めるなり、二人は互いの腕を伸ばして柔らかく抱き合い、そと唇を重ねた。長くは続けず、愛斗の体に負担がかからないように、優しく触れ合うだけの口づけを交わす。
リビングから寝室へ移ると、愛斗は美登里をベッドにそっと横にさせ、また唇を重ねた。胸を強く押さないように、背中と肩を柔らかく包み込むように腕を回し、ゆっくりと抱き寄せる。
二人は布団の中で体を寄せ合い、静かに抱き合っていた。美登里はそっと手を伸ばし、愛斗の胸元にそっと掌を置く。規則正しいが少し速い鼓動が、指先から伝わってくる。
「愛斗くん、心臓がどきどきしてるわよ」
愛斗は照れくさそうに笑い、美登里の肩に頬を寄せた。
「美登里さんと一緒にいるからですよ。こんなに幸せな時間、初めなんです」
再び柔らかく口づけを交わし、やがて二人は体を休め、静かに眠りについた。
朝になり、窓から柔らかな日差しが差し込むと、愛斗は目を覚ました。今日は仕事の日だ。慌てずにゆっくりと身支度を整え、美登里と一緒に家を出た。
送迎バスの待ち合わせ場所であるミニストップへ着くと、二人は店内でカフェオレを買って飲みながら、他愛のない話をした。そんな穏やかな時間が流れる中、遠くからバスが近づいてくるのが見えた。
愛斗は立ち上がり、美登里に向かって笑顔で言った。
「じゃあ、いってきます」
「バスが来るまで、一緒に行きましょうか」
「はい」
二人は並んでバスの停車位置へ歩き、ドアが開くと、運転手の荒尾と上田が顔を出した。愛斗が乗り込もうとする前に、美登里は丁寧に頭を下げて挨拶をする。
「おはようございます。末山愛斗の恋人の辛島美登里です。いつも愛斗のことをお世話になっています」
二人の運転手は一瞬目を丸くし、顔を見合わせた。
「えっ? 辛島美登里さん? 似てるなあと思ったら…」
「はい、本人です。今日はすっぴんで失礼しています」
慌てて驚きながらも、二人は丁寧に応える。
「いやいや、こちらこそ! 愛斗くんのことは安心して任せてください」
愛斗は美登里に手を振り、バスの中へと乗り込んだ。窓から手を振ると、美登里も笑顔で手を振り返す。バスがゆっくりと動き出すまで、彼女はその場に立って見送ってくれていた。愛斗は胸の中に、一日分の温かな活力をしっかりと詰め込んで、仕事場へと向かった。

