るるが俊太に恋をしたのは、高校1年生の秋だった。
クラスの係の仕事で遅くなり、一人で重いプリントの束を運んでいた時。
「それ、半分持つよ」
そう言って、爽やかな笑顔で現れたのが俊太だった。
夕日に透ける茶髪と、すれ違った時にふわっと香った石鹸の匂い。
それだけで、るるの心臓はうるさいほどに跳ね上がった。
それから毎日、彼の姿を目で追うようになった。
移動教室で廊下ですれ違うだけで心臓が痛かった。彼が他の女子と楽しそうに話しているのを見ては、胸の奥がチクチクと疼いた。
「おはよう、るる」
毎朝のその一言のために、るるは前日の夜から何度も鏡の前で笑顔の練習をした。
今思えば、あの胸が苦しくて、でも世界が輝いていた片想いの期間こそが、青春そのものだった。
だからこそ、高校2年生の春に俊太から告白された時は、本当に世界がひっくり返るかと思った。
「付き合ってほしい」と言われ、夢中で頷いたあとの帰り道。
二人の距離は、今よりもずっと初々しかった。お互いに緊張しすぎて、1メートルは離れて歩いていた。
(付き合うってことは……これから、手を繋いだりするんだよね?)
るるはカーディガンの袖をぎゅっと握りしめながら、チラチラと俊太の横顔を盗み見た。
俊太は俊太で、ロボットのようにぎこちない歩き方で、前だけをじっと見つめていた。
「あの、るる……」
「は、はいっ!」
「……ううん、なんでもない。送るよ」
あの時は、そのぎこちなさすら愛おしかった。
「付き合いたてだから緊張してるんだな。可愛いな」って、そう思っていた。
まさかその「ぎこちなさ」が、3年経っても1ミリも変わらないなんて、当時のるるは知る由もなかったのだ。
クラスの係の仕事で遅くなり、一人で重いプリントの束を運んでいた時。
「それ、半分持つよ」
そう言って、爽やかな笑顔で現れたのが俊太だった。
夕日に透ける茶髪と、すれ違った時にふわっと香った石鹸の匂い。
それだけで、るるの心臓はうるさいほどに跳ね上がった。
それから毎日、彼の姿を目で追うようになった。
移動教室で廊下ですれ違うだけで心臓が痛かった。彼が他の女子と楽しそうに話しているのを見ては、胸の奥がチクチクと疼いた。
「おはよう、るる」
毎朝のその一言のために、るるは前日の夜から何度も鏡の前で笑顔の練習をした。
今思えば、あの胸が苦しくて、でも世界が輝いていた片想いの期間こそが、青春そのものだった。
だからこそ、高校2年生の春に俊太から告白された時は、本当に世界がひっくり返るかと思った。
「付き合ってほしい」と言われ、夢中で頷いたあとの帰り道。
二人の距離は、今よりもずっと初々しかった。お互いに緊張しすぎて、1メートルは離れて歩いていた。
(付き合うってことは……これから、手を繋いだりするんだよね?)
るるはカーディガンの袖をぎゅっと握りしめながら、チラチラと俊太の横顔を盗み見た。
俊太は俊太で、ロボットのようにぎこちない歩き方で、前だけをじっと見つめていた。
「あの、るる……」
「は、はいっ!」
「……ううん、なんでもない。送るよ」
あの時は、そのぎこちなさすら愛おしかった。
「付き合いたてだから緊張してるんだな。可愛いな」って、そう思っていた。
まさかその「ぎこちなさ」が、3年経っても1ミリも変わらないなんて、当時のるるは知る由もなかったのだ。



