追放先で再会した初恋の男は、罪深い私を愛し続ける 〜断罪令嬢エリザベートの初恋回帰〜

――――無言のまま連れて行かれた場所は、村から離れた結界の袂だった。

そこには二軒の家が並んでおり、一つは新築と窺えるほど真新しい立派な造りで、もう一軒はいつから建っていたのかも分からない古びた平屋だった。

エリザベートに与えられたのは平屋で、ベリルはひと言「お前の妹が使っていた家だ」と教えられる。

扉を開けると軋む音が響き、中は意外にも綺麗に掃除されてあった。

「そこそこ小奇麗だろ。これからはお前が自由に使えばいい」

窓を閉め切っていたからかカビの匂いがしたが大したことではない。

部屋を見渡すエリザベートの背にベリルが告げた。

「一日一回は確認しに来る。脱走でもされちゃ罰にならねぇからな」

他家の貴族や親戚を頼りに行方を眩ます事がないようにという理由らしい。

そんなことするわけがない。

背を向けたままエリザベートは苦い笑みを零したあと部屋の中を歩き、水位の高い水瓶を覗き込んだあと、窓辺に視線を向けた。

小さな窓辺には保存食となる干し肉が吊るされてある。

「そこにあるのは食える。野菜も机の下の箱に少しは入ってるはずだ」

平民の一般的な食卓テーブルの下には木箱があり、そこには未開封のワインが一本と数種類の根菜が入っていた。

「これはヒストリアが暮らしていた名残かしら。それとも別の誰が用意したの?」

「ヒストリアだろ」

訊ねるとベリルは即答したが、よく見ればワインは埃を被っていない。テーブルなどは薄らと埃を被っていたのに対して、明らかに異なる。

きっと持ち込まれたばかりのものだ。

それを敢えて伏せるのはベリルが当人であるからだろう。ならば他のものだってそうだ。

自分のために用意されている。

胸の奥に重いものを感じ、エリザベートは静かに口を開いた。