眼力の強い瞳が甘く下がる精悍な顔には、勝ち気で言葉よりも行動で示してくれた明るい少年の面影が残っている。
あの頃よりも背が伸びて、骨格さえも……かつてエリザベートの手を引いたものと全く違う。
傭兵と違わぬ恵まれた体躯をしていた彼の父親に似たのか、随分逞しいものとなっていた。
顎先まで垂れる茶色の髪は片耳だけ掛けられており、少し影のある危険な色香を放つ男にエリザベートは眉を歪めた。
そんなエリザベートの様子を男はじっと見遣る。
少し顎を傾けながら訝し気に眉根が動き、それから少しして、大きな溜息が吐き出された。
「暗い顔して遠くばかり見てりゃ、当然躓く……」
唐突に言われ、エリザベートは唇を震わせた。
「お前が何したかは知ってるぜ」
「……っ……」
その言葉にどきりとして瞬いた瞬間、身体が引き寄せられた。
「今度は俺を見て歩けよ、エリィ」
――愛称で呼ぶのはベリルだけだ。彼は覚えてくれていた。
「ベリル、あなたなのね……」
逞しい身体に包み込まれ、エリザベートは双眸を閉じ大きな幸福を噛み締めたが、その感情は長くは続かなかった。
現実を忘れ再会に浸るほど安直な性格ではない。
今の自分は罪人で、ベリルは監視役として遣わされている。
あの頃よりも背が伸びて、骨格さえも……かつてエリザベートの手を引いたものと全く違う。
傭兵と違わぬ恵まれた体躯をしていた彼の父親に似たのか、随分逞しいものとなっていた。
顎先まで垂れる茶色の髪は片耳だけ掛けられており、少し影のある危険な色香を放つ男にエリザベートは眉を歪めた。
そんなエリザベートの様子を男はじっと見遣る。
少し顎を傾けながら訝し気に眉根が動き、それから少しして、大きな溜息が吐き出された。
「暗い顔して遠くばかり見てりゃ、当然躓く……」
唐突に言われ、エリザベートは唇を震わせた。
「お前が何したかは知ってるぜ」
「……っ……」
その言葉にどきりとして瞬いた瞬間、身体が引き寄せられた。
「今度は俺を見て歩けよ、エリィ」
――愛称で呼ぶのはベリルだけだ。彼は覚えてくれていた。
「ベリル、あなたなのね……」
逞しい身体に包み込まれ、エリザベートは双眸を閉じ大きな幸福を噛み締めたが、その感情は長くは続かなかった。
現実を忘れ再会に浸るほど安直な性格ではない。
今の自分は罪人で、ベリルは監視役として遣わされている。



