――――移送先はルキリュ領ディート地区。
激しい振動に身体を揺さぶられながら、エリザベートは唇を引き結び、外を見つめていた。
ディート地区は結界で守られるシルドバーニュの最北端の地だ。
王都からの長い旅路の末に馬車は止まり、最後に一度大きく揺れる。
兵士に促されエリザベートは荷馬車を降りると、深く息を吸い込んで辺境の空を見上げた。
秋晴れの空はよく晴れていて、鳥が一羽、高いところで悠々と旋回していた。
その奥で波を打つように結界が美しく揺らめいている。
「案内人が到着している。後のことはその者に訊け」
事務的な言い方をする兵士の言葉にエリザベートは静かに頭を下げ見送った。
案内人と言われたが、これから出会うのは監視役の人間だ。
ルキリュ領の統治者であるラキュウス辺境伯の監視下に置くと沙汰が下され、配下の人間がひとり遣わされる事となっていた。
妹の追放時とは違い、大層なもてなしである。
それが誰の慈悲によるものか分からないが、勝手の分からぬ辺境の地で人を手配されたことをエリザベートは心の内で感謝した。
「――ようこそ、ディート地区へ」
殺風景な景色に、低い芯の通った声が響いた。
エリザベートはその声の主に顔を向けた瞬間、時が止まった。
激しい振動に身体を揺さぶられながら、エリザベートは唇を引き結び、外を見つめていた。
ディート地区は結界で守られるシルドバーニュの最北端の地だ。
王都からの長い旅路の末に馬車は止まり、最後に一度大きく揺れる。
兵士に促されエリザベートは荷馬車を降りると、深く息を吸い込んで辺境の空を見上げた。
秋晴れの空はよく晴れていて、鳥が一羽、高いところで悠々と旋回していた。
その奥で波を打つように結界が美しく揺らめいている。
「案内人が到着している。後のことはその者に訊け」
事務的な言い方をする兵士の言葉にエリザベートは静かに頭を下げ見送った。
案内人と言われたが、これから出会うのは監視役の人間だ。
ルキリュ領の統治者であるラキュウス辺境伯の監視下に置くと沙汰が下され、配下の人間がひとり遣わされる事となっていた。
妹の追放時とは違い、大層なもてなしである。
それが誰の慈悲によるものか分からないが、勝手の分からぬ辺境の地で人を手配されたことをエリザベートは心の内で感謝した。
「――ようこそ、ディート地区へ」
殺風景な景色に、低い芯の通った声が響いた。
エリザベートはその声の主に顔を向けた瞬間、時が止まった。



