源光璃 物語!

源 光璃(みなもと ひかり)は、今年の春から高校生になる。
趣味はお琴を弾くこと。特技はサッカー。
母親が小さい時に亡くなってからは、父親とお手伝いさんと一緒に暮らしてる。

その日、光璃は父である桐人(きりと)の再婚相手の人と会うことになった。
光璃は、それをとても楽しみにしていた。

パパはいつも私を気にして、自分のことは後回しな人だから。
パパにも幸せをつかんでほしいなと思ってたもん。
光璃はそう思っていた。

光璃はお気に入りの萌黄色のワンピースを着て、車に乗り込んだ。隣には父親が座っている。
「じゃあ、出発しますね。」
運転手がそう言って、静かに車が発信した。

「光璃、緊張しているのか?大丈夫、きっと仲良くなれるよ。」
桐人がのんびりと言った。
「パパ、大丈夫。緊張はしてないの。ただ、ちゃんとご挨拶できるかなって。」
可愛らしい心配をする娘に、桐人は微笑んだ。

光璃は亡き母である更(さら)によく似ていた。
月の光のような白い肌に腰まで伸びた黒くしっとりとした髪。
賢そうな額に、スッとした鼻筋。唇は果実のようにみずみずしい。
何より目を引くのは、意志の強そうな大きな目だった。澄んでいて、相手の心の奥深くまで見つめる。そんな瞳である。

「旦那様、お嬢様。着きましたよ。」
2人が仲良く話していたら、あっという間に着いてしまった。
洋食レストランでランチをしながら、顔合わせをすることになったいた。

店のドアを開けると、カランコロンと心地よい音が鳴った。
「あ、桐人さ〜ん。こっちこっち〜。」
勝気そうな美人が、光璃たちに向かって大きく手を振る。
桐人は小さく手を上げ、光璃は小さくお辞儀をした。
2人は、桐人はその美人の、光璃はその隣の少年の、それぞれ座った。

少年は綺麗な子だった。
とても整った顔をしており、メガネがとてもよく似合っていた。
髪はふんわりとした薄茶色で、全体的に儚い感じがする。
口元は小さく微笑んでおり、優しそうな雰囲気を感じる。

「とりあえず、何か注文しましょ。何がいい?」
桐人の向かいの女性がそう問いかける。
「じゃあ、ピザにしようかな。」
「あ、じゃあ私は、オムライスにします。」
「僕はナポリタンにするよ、母さん。」
桐人、光璃、少年は、それぞれそう頼んだ。
「じゃあ、アタシはハンバーグにしようかしら。」
女性はそう言うと、そのまま店員を呼んだ。
オーダーが終わり、店員がお辞儀をして去っていったら、4人はそれぞれ向かい合った。

「私から自己紹介させてもらおうかな。改めて、源桐人です。どうぞよろしく。」
そう言って、桐人は優しく微笑んだ。
「じゃあ次はアタシかしら。アタシは中ノ宮藤子(なかのみやふじこ)です。仲良くやってきましょうね。」
そう言うと、ニッコリと大きな笑みを浮かべた。
「次は僕でいいかな。中ノ宮藤李(なかのみやとうり)と言います。よろしく。」
オロオロとしている光璃に、藤李はふんわりと言った。
「私、源光璃です。仲良くしてください。よろしくお願いします。」
光璃は、ペコリと頭を下げた。

「よろしくね〜、光璃ちゃん。と〜っても可愛い子だわ。」
藤子は、可愛らしい人形でも見つめるような、キラキラした目で言った。
光璃は、曖昧にニコニコと笑っておいた。
「藤李くんも、かっこいい子じゃないか。うん、賢そうな感じがする。」
桐人はそう言い、しきりに頷いている。
「ありがとうございます、桐人さん。」
藤李は、穏やかにそう返した。

やがて料理が到着して、4人はのんびりと話し続けた。藤子が何かを言い、桐人がそれに答える。藤李と光璃はにこやかな頷いていた。料理は、絶品だった。オムライスは、トロトロでケチャップライスとの相性が最高だった。

食事を終えた4人は、店を出た。
桐人と藤子が2人で話している時に、藤李がそっと光璃に近づいた。
「これからよろしくね。僕のことは、お兄ちゃんだと思ってくれていいから。」
「はい、これからよろしくお願いします。お兄ちゃんだと思うんで、私のことも妹だと思ってください。」
光璃がそう言うと、藤李はクスっと笑った。
「敬語じゃなくていいよ。光璃ちゃん。」
その言葉に、光璃も頷いた。
「分かった、藤李さん。」

「2人共、帰るわよ。」
藤子がそう言うと、2人は駆け出した。
「じゃあね、光璃ちゃん。」
光璃と桐人を乗せた車に、藤李が静かに手を振る。
「うん、またね。」
光璃も手を振り返した。

「どうだった、藤子さんと藤李くんは?」
車がレストランから離れて、桐人が光璃に聞いた。
「2人共とっても良い人だったと思う。パパ、私は再婚に賛成だよ。」
光璃の言葉に、桐人は嬉しそうに笑った。

光璃はこれからの生活を思って、緊張と喜びが混ざった気分だった。