王都の白い大理石でできた回廊。 規則正しく並ぶ柱に、遠くで鳴る鐘の音。 「第一王女殿下、本日の予定です」 無機質な声だった。 机の上には山のような書類。 朝会、 外交文書の確認、 貴族からの陳情、 教育、 夜会。 そのすべてが当然のように積み上げられていた。 「エレノア様、こちらの件ですが——」 「……わかったわ」 いつも通りの返事。 間違えないように。 期待を裏切らないように。 失敗しないように。 ただ、それだけで一日が終わっていく。 笑う余裕などなかったあの日々。