追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く

夜の王宮。

誰もいない、静かすぎる廊下を、アリアは一人で歩いていた。

かつて姉と並んで歩いた場所。

ふと足が止まる。

「……お姉さま」

誰にも届かない声だった。




幼い頃はよく、庭園で遊んでいた。

「お姉様!」

転んだアリアに、姉はすぐに駆け寄ってくれた。

アリアの擦りむけた膝を見て、ため息をつく。

「だから言ったでしょう。走るなって」

「でも....!」

「でも、じゃないの。」

それでも、姉はハンカチで血を拭く。

「次からは気を付けなさい」

優しいのか冷たいのか分からない声。

それでも、そこには確かに“温度”があった。