追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く

全然分かっていない顔だった。

レオンは肩を震わせて笑いを堪えている。

「何がおかしいの」

「いや」

口元を押さえながら答える。

「君にも苦手な相手がいるんだな」

「……ええ」

眉をひそめてミリアを見る。

「この子だけは苦手よ」

「んふふ、エレノアさんったらぁ〜!

照れ隠しですよね!」

「違うわよ」

「本当は大好きなんですもんね!」

「違うってば」

「はいはい!」

話にならない。

レオンはとうとう声を出して笑い始めた。

その笑顔を見て、私は少しだけ目を見開く。

この男は、こんなふうに笑える人だったのか。

ほんの数日前まで、自分を「何者でもない」と言っていた

男とは思えないほど、穏やかな笑顔だった。