追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く

「レオン・ヴァルハルト」

名前を口にした瞬間。

レオンの表情がわずかに動いた。

それを見て確信する。

「……どこでそれを」

初めて聞くような低い声。

それを耳にして、私は肩をすくめた。

「やっぱり」

やがてレオンは息を吐いた。

「君も十分、普通じゃないな」

「よく言われるわ」

「貴族だと言っていたか」

「ええ」

私は少し間を置く。

そして静かに言った。

「地位はもう少し上だけどね」

その言葉にレオンは目を細めた。

「……まさか」

その視線から逃げるように、私は視線を逸らす。

「あなたも似たようなものでしょう?」

しばらく沈黙。

そしてレオンは小さく笑った。

「確かにな」

その笑いは、どこか諦めと安心が混ざっていた。

互いに秘密は残っている。

けれど。

もう隠す意味は、ほとんど無くなっていた。