追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く

窓の外では風が鳴っている。

だが、この部屋だけは異様に穏やかだった。

レオンは立ち上がる。

最後にもう一度だけエレノアを見ると、表情を和らげた。

「……おやすみ」

返事はない。

当然だ。

それでも彼は小さく頷き、部屋を出た。

扉が閉まる。

暖炉の残り火が、かすかに揺れた。

翌朝。

エレノアは目を開けた瞬間、違和感に気づいた。

「……ん?」

天井が違う。

机も違う。

いつもの自室だ。

「……どうして」

昨日は確かに暖炉の前で帳簿を見ていて、そのまま――。

そこで記憶が途切れる。

嫌な予感がした。