追放された自称悪役令嬢は落ちぶれた元騎士を拾って辺境に返り咲く

「……馬鹿ね」

誰に向けた言葉だったのか、自分でも分からなかった。

夕方になって、馬車はようやく小さな宿場町へ到着した。

追放とはいえ罪人ではない。

最低限の宿は用意されているらしい。

食堂の隅で一人夕食を取った。

周囲の客たちがひそひそ話している。

「聞いたか?」

「王女様らしいぞ」

「追放されたって」

「悪いことしたんだろ」

私は黙ってスープを飲んだ。

慣れている。

王宮でも陰口くらいは毎日のように聞こえていた。

気にしていたら王女など務まらない。

ただ――

少しだけ面倒だった。