ミミミちゃん(意味が分かると怖い話)

テスト中の教室はとても静かだ。

シャープペンシルがカリカリと紙をこする音と、ときどき机がギシッと鳴る音だけが響いている。

少し開いた窓からはそよ風が吹きこみ、若草色のカーテンが揺れている。
あっ、教卓のユミコ先生が、退屈そうにあくびをかみ殺した。

クラスメイトは真剣な顔でテスト用紙とにらめっこしている。もちろん、すでにあきらめてしまった人もちらほらいる。
ボケーっと気の抜けた顔をしているからわかる。
ななめ後ろの山下くんなんて、用紙のすみにアニメのキャラクターの絵をかいている。なかなか上手だな。

サヤカは、思わずニヤリと笑ってしまった。

フフフ。わたしには、すべてよーく見えている!

長袖のシャツにかくれて見えないけれど、サヤカの手首にはあの『百目リング』がしっかりとはめられている。

服の下にかくしていても、ちゃんとまわりの景色が見えることは、昨日の夜、家で確認ずみだ。

学校に授業と関係ないものを持ってくるのは禁止されている。もし百目リングをつけていることがバレたら、先生に没収されてしまう。

だから、長袖シャツを着て、下にかくすことにした。

同じように、テストの途中でつけたり外したりしたら先生にあやしまれるから、サヤカはテスト中ずっとリングをつけっぱなしにしていた。

それによって、サヤカの考えは少し変わった。