ミミミちゃん(意味が分かると怖い話)

日の傾きはじめた空の下、コンビニへ向かう道を歩くサヤカの頭には、よからぬ考えが浮かんでいた。

こうなったらもう、カンニングくらいしか手がないんじゃないか?

だけど、どこがテストに出るかなんてサヤカには見当もつかない。だから、カンニングペーパーを作ることすらできない。

となると、まわりの席の子のテスト用紙をチラッとぬすみ見るしかない。

(でも、わたしって変なところで目立つんだよなー)

サヤカは、女子の中では頭ひとつ抜けて背が高い。体育のときは有利だが、授業中に数人でふざけていても、なぜかサヤカだけが先生に怒られることが多々あった。

サヤカがキョロキョロとまわりの席をうかがっていたら、すぐに先生にバレてしまいそうだ。

「自分の机に目を向けたままで、まわりの席を見れる方法があったらなぁ……」

コンビニの自動ドアをくぐり、冷たい空気がただようドリンクコーナーの前に立っても、サヤカの頭の中はカンニングのことでいっぱいだった。

腕を組んで、ズラリと並んだペットボトルに真剣な顔を向けていると、不意に横から声がした。

「どうして、お姉さんはジュースをにらんでるのー?」

サヤカがハッとして声のした方を向くと、そこには、カラフルで奇抜な服を着た女の子が立っていた。

背丈からして小学生だと思う。お人形みたいに整った顔立ちで、とてもかわいいけれど、どこか浮世離れした不思議な雰囲気をまとった少女だった。

サヤカが聞いたわけでもないのに、彼女は自己紹介をした。

「わたしの名前は深見ミミ。ミが3つ並んでいるでしょ? だから友だちからは、『ミミミちゃん』って呼ばれてるんだー」