元いじめられっ子の悲劇

「ところで、聞きたいことがあるんだけど」

 ここで、アユト君が口を開いた。

「ペングウィーノだっけ?」

「そうだけど」

「俺は、君を知らない。
だけど、君は俺を知っている」

「もしかして、アユト君・・・」

 状況が察するに、
 ペングウィーノは、アユト君に頼んでない。

「これで、俺をだませると思ったのかい?」

「あはははははは」

 ペングウィーノは、笑い出した。

「おかしい!
あははははは」

「ペングウィーノ?」

 私は、わけがわからずに、首をかしげた。

「そうね。
ペングウィーノじゃない」

 こうして、ペングウィーノから、一人の人間の女の子になった。

「ペングウィーノの正体とか、知ってるの?
ねえ、知ってるの?」

「それは・・・・」

 ペングウィーノから、出自とか、何者とかは聞かされたことない。
 だから、反論できなかった。

「かわいい見た目に、騙されたっていうの」

「ペングウィーノは、ずっと私のそばにいてくれた。
だから、何も騙されてなんていない・・・」

 怒りと悲しみ、不安など様々な感情がめぐってくるけど、
 私は、冷静になろうとした。

 それでも、抑えきれないものはあった。
 感情を、すべて制御するには、10歳という年齢では、
 どこかしら限界があった。

「見ず知らずの得たいの知れない者を、
物体を、
信用していた、と?」

 ここまで言われると、反論する言葉が、
 浮かばなくなってくる。

「ここまでにしないか?」

 アユト君が口を開いた。

「何がよくわからないけど、
ペングウィーノは、どうしたのさ?」

「ペングウィーノはね、あはははははは」

 何が、どうおかしいのかわからなかった。
 不安しか、襲ってこなくなる。

「本当のことを教えて?
ペングウィーノが、どうなっているか知りたいの。

私、彼が無事かどうか」

 私は、女の子に必死にお願いした。

「彼?
ペングウィーノを、男の子だと思ったの?」

「違うの?」

「そう。
見た目に反して、何にも知らないんだね。
ペングウィーノは、ペンギンとか妖精って思ってるから、こうなるの。

本当の妖精は、魔法を使うってことも知らずに」

「そんなこといいから、教えてよ。
ペングウィーノが、無事かどうか」

「無事じゃない?」

 私は、一瞬ほっとしたのも束の間、

「こうして、あたしが生きているんだし」

 ここで、ぞっとした。

「それって、どういうこと?」

「ペングウィーノが、無事かどうか知りたいだけじゃないの?」

「そうだけど、そうなんだけど、
君が生きてることが、
なぜ、
ペングウィーノと無事と直結するの?」

「知りたい?」

「知りたい」

「どんな残酷な真実でも、知りたいの?」

 ここで、私は悩んでしまった。
 ペングウィーノのことは、何も知らないし、聞かされていない。
 知りたいような、知りたくないような。

 私の出した答えは・・・。