元いじめられっ子の悲劇

「保育園の時から、君が好きで、
忘れられなかったんだ。
だから、守らせてほしい。
今度こそは」

「あの・・・」

 私は、冷静になろうと頑張ってみる。

「付き合うとかはさ、君の心も整理しきれてないから、
これは、今すぐじゃなくてもいい。
今すぐなのは、君を守り切ることだから。
いじめっ子たちから」

「それがこの世界に来たこととか、
吸血鬼になったことと関係あったりする?」

「半分正解で、半分不正解。
俺は、生まれた時から吸血鬼だったけど、
年々、その血筋の方が強くなったんだ」

「血筋が強くなる?」

「俺、ハーフヴァンパイアだから。
そして、俺のやりたいことは、ふたつ。
本当の肉親を見つけることと、
君を守ることなんだ」

「私と同じね」

 私も、本当の肉親を捜していた。
 赤ちゃんポストに捨てられていたところを、
 職員が拾ってくれたみたいだ。
 ペングウィーノから、聞いたことがあるし、
 ママからも、そんな話があった。

「君も赤ちゃんポストに、入れられていたの?」

「赤ちゃんポスト?
なにそれ?」

「違うの?」

「俺は、特別養子縁組を、生まれた時に組まれたみたいで。
なんせ、母親が未成年だったとかという話を聞いた。

それ以外は、何も」

 よく、わからないけど、そんな流れか。

「守りたいなら、どうして今になって?」

「俺、まだ子供だったし。
それに、学校生活と君、どっちが大事なのか悩んで、悩んで、
学校に行きたくないと不登校になってさ、
不登校になって、
この世界に居づらくなって、
君を追いかけることにしたんだ」

「不登校になって、いづらくなるのは、
自業自得じゃない?」

「俺は、君がどんな気持ちで過ごしていたかなんて、
正直に言うと、わからない。
それと同時に、
不登校になる俺の気持ちも、
そうやって決めつけられるものじゃない」

 真面目な顔で言われたので、
 私は、何も言い返せなかった。

「君のことを、信じていいの?
いじめっ子グループと、どんな関係があるか、
わからないのよ」

「何の関係もないよ。
小学校に入学して以来、会ってないし。
向こうも、佐藤せりおのことばかり気にしていたし」

「・・・・どうして、私が佐藤せりおだって言い切れるの?」

「俺は、歴史を見れるんだ。
その人の歴史。
全部じゃないけど。
いじめっ子たちの歴史とか、
ベンデッタの歴史とか。
それで、ベンデッタの過去が、
佐藤せりおだってことに見抜けたんだ」

「そう。
いじめっ子グループは、何か魔法とか授かったの?」

「さあな。
俺は、歴史が全部わかるわけじゃない。
どうやって、この世界に来たのかも、わからない。
ベンデッタ。
ここの世界の歴史も、新しく作られていかないと思うんだ」

「新しくって?」

「ここで、歴史が途絶えるということ。
世界は、いじめっ子たちに滅ぼされるということなんだ。
だから、
ベンデッタ、俺と一緒に別世界とか、
平行世界に行かないか?」

「そんなこと、できる?」

「俺の魔法だから」

「ペングウィーノは?」

「ペングウィーノ?」

「いつも、一緒にいてくれた妖精よ。
姿が、見えなくなって・・・・」

「捜してみる?」

「・・・見つかる?」

「捜してみないと、なんとも。
だけど、危険だよ。
いじめっ子たちは、まだ放火やら、
爆破やら、
建物を崩壊とか、
まだやってるから」

 私は、ここでどのように返事をするか悩んでしまった。