元いじめられっ子の悲劇

 爆発が起きて、
 わけもわからず、私は吹き飛ばされた。

 町の人達の叫び声が聞こえた。

 ここで、私の意識は途絶えた。



「大丈夫か?」

 
 男の子の声が、聞こえた気がした。
 目を覚ますと、
 男の子にお姫様抱っこをされていた。

「えええええええええ!!」

 目の前の状況が、理解できなかった。
 お姫様抱っこさえている上に、
 この男の子は飛んでる。

 飛んでる・・・・・?

 思わず、下を見ると、

「飛んでるうううううううううううう!」

 異世界に来て、こういうのは慣れているけど、
 これは初めてだ。

 そもそも、昔はママに抱っこされていたけど、
 私は異世界に来て以降、
 誰にもお姫様抱っこなんて、されたことないし、
 その上、空を飛んでるとか。

 ペングウィーノも、空飛べるけど、
 私を抱きかかえたりとかしない。
 そもそも、できないのだろう。

「どなたですか!?」

 私は、思わず聞いてしまった。

「吸血鬼」

「そんなことは、聞いてないわ!
名前とか、
何者とかよ」

「そんな・・・。
命からがら、君だけでも助けようとしたのに・・・・」

「命からがら?
・・・・・・・。
まずは、名前教えて?」

 いろいろ気になることはあったけど、
 まずは優先順位をつけて、
 質問を投げかけることにした。

「俺は、アユト」

「アユトね。
私は、ベンデッタ」

「それで、佐藤せりおちゃんでしょ?」

「え?」

 何故、知ってるの?
 私の本名。

「あのさ、誰から聞いた?
佐藤せりおのこと」

 いじめっ子グループから、知ったとなるとかなりまずい。
 私は、追われてしまう。

「だれからも聞いてないよ。
そっか、君は魔法を与えられてないし、
俺が誰なのか憶えてないんだ」

「えっと・・・・」

 まずは、状況整理をするとしよう。
 この人は、私が誰なのか知っている。
 この情報は、だれからも引き出していない。
 魔法を使える。

 私は、この異世界に来るときに、
 魔法を与えてもらってない。
 なので、ペングウィーノに守ってもらっている。

 そんなことは、どうでもいい。
 冷静な頭で、いろいろ考えるのよ。

「私と、君って、会ったことある?」

「あるけど、もしかして、忘れちゃった?
保育園時代」

 保育園?
 いじめっ子グループのこととか、
 いじめられた記憶しかない。
 それ以外のことは、幼すぎて、憶えてない。

「保育園の時、同学年だった?」

「そう。
実はね、保育園の時に後悔してて、いじめられていた君を守れなくて、
あの時の俺は、弱かったから」

「ごめん、本当に憶えてない」

「俺は、君が好きなんだ。
だから、君を守りたい」

「え?」

 突然の言葉に、私は思考が停止してしまった。
 時間が止まるとは、このことをいうのだろうか。