友情vs恋愛~あなたは、どちらを優先しますか?~

「これ……良かったら読んで。私の気持ち、全部書いたから」
放課後の誰もいない教室で、結衣から一通の手紙を渡された。
ずっと最高の友達だと思っていた結衣からの、突然の告白。
颯太は困り果ててしまった。結衣のことは人として大好きだけど、異性としての恋愛感情を持てない。
でも、ここでただ「ごめん」と振ってしまえば、結衣を傷つけ、これまでのグループの絆も完全に壊れてしまう。
悩んだ颯太は、共通の親友である晴斗にファミレスで相談した。
「おいおい、マジかよ」
「頼む晴斗、結衣を傷つけずに諦めさせたいんだ。だから……俺と晴斗が、実は付き合ってることにしてくれないか!?」
「はぁ!?  俺とお前が付き合ってるって、男同士だぞ!?」
「今どき珍しくないだろ!  別の誰かと嘘をつくより、お前と付き合ってるって言った方が、結衣も『それなら仕方ない』って納得してくれると思うんだよ!」
颯太の必死の懇願に、晴斗は呆れ顔をしながらも「……しょうがねえな。親友の危機だし、一肌脱いでやるよ」と、偽装恋人を引き受けてくれた。

次の日、颯太と晴斗は、結衣を呼び出した。
「結衣、手紙ありがとう。でも、俺……結衣の気持ちには応えられないんだ」
「……どうして? 好きな人がいるの?」
俯きながら尋ねる結衣の手前で、颯太は意を決して、隣に立つ晴斗の手をギュッと握りしめた。
「うん。俺、実は……晴斗と付き合ってるんだ。ずっと隠しててごめん」
結衣は驚いたように目を見開いた。まさか自分の男友達同士が付き合っているなんて、想像もしていなかったのだろう。
「そっ、そっか……! そりゃあ、私が入り込める隙なんてないよね。二人とも、お幸せにね!」
結衣は寂しそうな、でもどこか納得したような笑顔を浮かべ、走って去っていった。
「ふぅ……これで良かったんだよな」
颯太がホッとして繋いでいた手を離そうとした、その時。
晴斗が、颯太の手をさらに強く握り返してきた。
「え、晴斗……? もう結衣はいなくなったぞ?」
「……知ってるよ」
「じゃあなんで手を……」
「お前さ、俺がなんでこんな無茶な嘘に付き合ったか、本当に分かってないの?」
晴斗のいつもと違う、真剣でどこか熱い眼差しが、まっすぐに颯太の目を射抜いた。
ただの「偽装恋人」のフリだったはずの嘘が、もう一人の親友の本音を引き出してしまった。
繋がれた手の熱さに、颯太は心臓が破裂しそうなほどの衝撃を覚えていた。