友情vs恋愛~あなたは、どちらを優先しますか?~

美奈にとって、蓮は「なんでも話せる男友達」だった。……表向きは。
本当は、高校に入学した時からずっと、蓮のぶっきらぼうな優しさに恋をしていた。
でも、今の心地いい関係を壊したくなくて、ずっと「ただの幼馴染」のフリを続けてきたのだ。
そんなある日、放課後の教室で、蓮が耳まで真っ赤にしながら美奈に頭を下げた。
「美奈、頼む!お前のクラスの、小春ちゃんの連絡先教えてくれないか……? あと、小春ちゃんがどんな男がタイプかも、リサーチしてほしい」
頭が真っ白になった。蓮が恋をした。
その相手は、美奈のクラスメイトで、おっとりして誰からも好かれる可愛い女の子、小春だった。
「え、え〜? 蓮がまさかの片思い? うわ、ウケる!」
美奈はいつもの調子で大笑いしてみせた。そうしないと、今にも泣き出してしまいそうだったから。
「しょうがないな、親友の頼みだし!」と、自分の恋心に特大のフタをして、美奈は二人のキューピッド役を引き受けた。

それからの日々は、まさに生き地獄だった。
「小春ちゃん、今日髪型変えてたよな?」「小春ちゃん、甘いものが好きらしいぞ」と、蓮から届くLINEは小春のことばかり。
美奈は小春にさりげなく蓮の印象を尋ね、「蓮くんって、不器用だけど優しいよね」という小春の言葉を、そのまま蓮に伝えてあげた。蓮は「マジか!」と見たこともないような嬉しそうな顔をした。その笑顔が、美奈の大好きな笑顔だった。

ある日の放課後、美奈のセッティングで、蓮と小春、そして美奈の3人でカフェに行くことになった。
楽しそうに話す蓮と小春。
二人の雰囲気はとてもお似合いで、美奈が入り込む隙なんてどこにもない。
「ちょっとお手洗い行ってくるね」
席を立った美奈は、店の外の非常階段で、ようやく小さくため息をついた。
スマホを開くと、蓮から『美奈、マジで感謝。今度なんか奢るわ!』とメッセージが入っている。
「バカ、蓮。そんなんじゃないよ……」
夕暮れの街並みが、涙でじんわりと滲んでいく。
一番近くで応援しているのに、彼の視線の先に、私は一生映らない。