友情vs恋愛~あなたは、どちらを優先しますか?~

さくらと純玲は、幼稚園の頃からの「心友」だ。
お互いの趣味も、家族構成も、好きな食べ物も、隠し事だって何一つない。そう思っていた。

あの日、クラスのムードメーカーである幹太が、放課後の教室で夕日を浴びながら笑った、あの瞬間までは。
「ねえ、さくら。私、好きな人できたかも」
ある日の帰り道、純玲が少し頬を赤らめて告白してきた。
心臓が跳ね上がった。
純玲の口から出たのは、さくらがここ数ヶ月、ずっと胸の奥に閉じ込めていた「幹太」の名前だった。
「…そっか!純玲、おめでとう。応援するよ!」
咄嗟に口から出たのは、心友としての完璧なセリフ。
だけど、胸の奥は鋭いガラスの破片で突き刺されたように痛かった。
それからの日々は、さくらにとって優しい地獄だった。
純玲から「幹太にLINE送りたいんだけど、なんて送ればいいかな?」とスマホを見せられるたび、自分の気持ちを殺して「こういう風に送ったら喜ぶよ」とアドバイスする。
幹太が純玲と楽しそうに話しているのを見るだけで、泣き出しそうになる。
でも、一番辛いのは、幹太の優しさだった。
ある日、さくらが一人で図書室の片付けをしていると、幹太がふらりと現れて手伝ってくれた。
「さくら、最近なんか元気なくね? 無理すんなよ」
そう言って、幹太はさくらの頭をぽんぽんと叩いた。
その手の温もりに、さくらの瞳から涙が溢れそうになる。幹太のことが、どうしても諦められない。
だけど、隣を見れば、幹太への恋心に目を輝かせている純玲がいる。
もし私が「私も幹太が好き」と言ったら、この最高の関係は壊れてしまうのだろうか。
「純玲、ごめんね……」
誰にも聞こえない声で呟きながら、さくらは今日も、自分の恋心にカギをかけた。