このクズを誰にも渡したくない

理は何処か一点を見つめていた。

でも、私が声をかけると「なんでもない。行くよ」と言った後神妙そうな顔になる。

「いや、もうこれ両思いすぎでしょ・・・・・・」

「・・・・・・?何?」

小さく呟いた理の声が聞こえず、聞くと理は「何も」と言ってまたはぐらかした。

歩いていったはずの染樹が振り向いて口を開く。

『バーカ』

「ば、馬鹿ぁ!?」

「え、ちょ、いきなり何・・・・・・!?」

私が染樹の口パクの言葉に私が反応すると、理が何があったのか知らないから驚いた。

染樹と目を合わせたままわなわなしていると、その視線に気づいた理が後ろを振り向く。

その瞬間に染樹はくるっと振り向いてまるでさっきまで歩いてましたよとでも言いたげな背中で歩いていた。

「・・・・・・?」

何も無い状況に理は怪訝そうに私を見る。

「酷い・・・・・・」

私は理も聞こえないくらいの消えそうな声で小さく言った。

「まぁ良いや。喉乾いたから、早く行こ?」

「あ、うん」

理に言われ、また歩き出す。