聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました

 「ウィラルド様を素敵な人だと思っています。まだそれ以上のことは分からないわ」
 マリーにとってウィラルドは出会った時から心惹かれる男性だ。
 マリーはウィラルドの優しい言動から誠実さを感じ、言動に偽りがない率直な気持ちが伝わっている。
 マリーはウィラルドを信じられる人と思っている。
 しかしその答えをたった数日で出していいのかを迷っている。
 「悪くない答えだ」
 ウィラルドはマリーの答えに満足そうに笑みを浮かべる。
 「マリー、俺を信じてついてきてくれ。二度とマリーをあんな目には遭わせない」
 マリーはレユスットと魔物討伐へ行った冬に倒れた時の事を思い出し、疑問に思っていた事をウィラルドへ質問する。
 「ウィラルド様、わたしの質問に答えてください。なぜウィラルド様は倒れているわたしを助けてくれたの?」
 ウィラルドはマリーの質問にためらいなく答える。
 「俺はマリーが倒れている近い距離にいた。森を見回っていると、ドラゴンの咆哮が聞こえ、それが飛び立った方向へ駆けつけるとマリーが倒れていた」
 「ドラゴンが怖くなかったのですか?」
 「聖騎士が魔物を恐れてどうする」
 レユスットはドラゴンを恐れて、倒れているマリーを置いて一人で逃げてしまった。
 ウィラルドはドラゴンを恐れずに駆けつけて、倒れているマリーを助けた。
 マリーの今があるのはウィラルドのおかげだ。
 マリーはウィラルドを信じる事に決めた。
 「分かりました。ウィラルド様を信じます。わたしはウィラルド様のパートナーの聖女として一緒に王城へ行きます」
 「ありがとう、マリー」
 ウィラルドはマリーから了承の言葉を得て安堵の表情を見せてマリーの手を優しく握る。
 「マリー、俺と共に王城へ帰ろう。……と言いたいが、急過ぎるな。明日の午後二時にいつものように迎えに行く。待っていてくれ」
 「嬉しいですが、この村に慣れてきた所だったので少し寂しいです」
 「また来ればいい。いつでも連れてきてやる」
 マリーはウィラルドの言葉に静かに頷く。

 マリーとウィラルドはハンナの実家へ一緒に向かった。
 ウィラルドはハンナに事情を話し、マリーを王城へ連れ帰る了承を得た。

 翌日の午後二時。
 マリーはこの村に来た時より少しだけ増えた荷物をまとめてウィラルドの迎えを待っている。
 ウィラルドが白馬と共にハンナの実家へマリーを迎えにやってきた。
 マリーは見送りに来てくれたハンナとその家族、辺境伯や村人たちに挨拶をしてウィラルドと共に王都へ立った。