その光景を見た那瑠は、綾人の腕を軽く小突いた。


那瑠「見た?」


綾人「あぁ。」


真尋も小さく笑う。


真尋「星那、自分から隣座らせた。」


那瑠「初めてじゃね?」


三人は声を潜めて話す。

紫月だけは何も言わず、静かに星那を見ていた。

星那は気付いているのか、いないのか。

何も変わらない表情で弁当を開ける。

綺羅は少し居心地が悪そうに周りを見回した。


綺羅「……私、ここで食べてもいいの。」


星那「もう座った。」


綺羅「……そうだけど。」


星那「嫌ならどく。」


その言葉に綺羅は首を横へ振る。


綺羅「嫌じゃない。」


ぽつりと返した一言。

星那は「そっか」とだけ呟き、静かに箸を動かした。

その短いやり取りだけで、不思議と空気が柔らかくなる。