綺羅「……おはよう。」


少し戸惑いながら返事をする。

星那はカップを二つ取り出すと、温かいココアを注ぎ始めた。

綺羅は思わず首を傾げる。


綺羅「コーヒーじゃないの?」


星那「苦い。」


真顔で返される。

綺羅は思わず吹き出した。


綺羅「子ども。」


星那「綺羅も飲む?」


差し出されたマグカップからは、甘い香りが漂っていた。


綺羅「……ありがとう。」


受け取ると、じんわりと手のひらが温かくなる。

昨日は怖かった。

不安だった。

なのに今は、不思議と落ち着いていた。

その理由が自分でも分からない。

星那は隣へ腰を下ろし、自分のココアを一口飲む。

二人の間に流れる沈黙は、不思議と苦じゃなかった。