綺羅は小さく息を吐いた。

昨日までなら。

こんな風に誰かへ心配されても、「放っておいて」と突き放していた。

なのに。

星那に言われると、不思議と強く返せない。


綺羅「……一日だけ。」


小さく呟く。


綺羅「一日だけ、いる。」


その一言に那瑠が笑った。


那瑠「やっと折れた。」


綾人「星那のおかげだな。」


真尋も少し安心したように笑う。

真央は腕を組みながら小さく頷いた。


真央「それでいい。」


部屋の空気が少しだけ柔らかくなる。

そんな中、星那だけはいつも通り眠そうな顔のまま、小さく欠伸をした。


星那「……よかった。」


その声は誰にも聞こえないくらい小さかった。

けれど綺羅だけは、その一言をちゃんと聞いていた。

思わず星那を見る。

目が合う。

星那は何も言わず、小さく微笑んだ。

その一瞬だけ。

綺羅の胸の奥に、今まで感じたことのない温かな感情が、小さく芽生え始めていた。