真尋は綺羅へ向き直り、小さく笑う。


真尋「俺は真尋。昨日、頭やられた奴」


少し冗談っぽく言うと、綺羅は申し訳なさそうに目を伏せた。


綺羅「……ごめん。」


真尋「いや、お前が謝ることじゃねぇよ。」


その隣で明るく手を挙げた男が笑う。


那瑠「はい!俺は那瑠!よろしく」


続いて、腕を組んでいた男が軽く会釈した。


綾人「綾人。まぁ、そんな警戒しなくていい」



三人とも思っていたより話しやすい。

だけど、私の視線は自然と一番奥へ向いた。

黒髪の男。

転入初日、少しだけ話した人。

結局、お互い名前も知らないままだった。

男も私を静かに見つめ返してくる。

数秒の沈黙。やがて男は短く口を開いた。


紫月「……紫月。」


それだけだった。


綺羅「……綺羅。」


自然と言葉が返る。

初めて、お互いの名前を知った。