制服に袖を通しながら鏡を見てみる。制服なんて久しぶりだった。

最後に着たのはいつだったかな?

思い出そうとしても上手く思い出せない。思い出したくない。

あの日から私の時間は止まったままだから。

鏡の前に立ち制服を着てる自分をみるとそこに映っていたのは、どこにでもいる普通の女子高生。

夜桜月華なんて呼ばれた伝説でもないし喧嘩ばかりしていた不良でもない。


ただの雨宮綺羅。


胸元の校章にそっと触れる。

本当にやり直せるのかな?普通の女の子として生きていけるのかな?

そんな不安が胸の奥を掠めた。


だけど――。

もう後ろは振り返らないと決めた。

琉羽がいない世界でも私は生きていかなきゃいけない。

鏡の中の自分を真っ直ぐ見つめる。

大丈夫。少しずつでいい。

月華じゃなくて、雨宮綺羅として。

小さく息を吐き、更衣室の扉を開けた。