紫月は腕を組んだまま静かに目を閉じる。

昼間の喧嘩を思い返す。

相手の力を流す受け方。

無駄のない踏み込み。

一撃で急所を捉える拳。

どれも高校生が身に付けるには完成されすぎていた。


紫月「……真央。」


真央「なんだ。」


紫月「綺羅の喧嘩はどこで覚えた?」


真央は少しだけ動きを止めた。

ほんの一瞬だった。

だが、その反応を紫月は見逃さなかった。

真央は小さく笑う。


真央「さぁな。」


紫月「誤魔化すな。」


真央「誤魔化してるつもりはない。今は言えないだけだ」


紫月はそれ以上聞かなかった。

だが確信する。

この人は知っている。