誰も知らなかった。

黒崎真央が、あんなにも優しい表情を見せることを。

倉庫には重たい沈黙が流れる。

最初に口を開いたのは真尋だった。


真尋「……真央さん。」


説明しようと口を開くが、何から話せばいいのか分からない。

真央は真尋へ軽く手を上げ、それを制した。


真央「状況はだいたい分かった。」


そう言って真尋の腕の中で眠る綺羅を見つめる。

傷一つない寝顔を確認すると、小さく安堵の息を漏らした。


真央「……暴れたんだろ。」


紫月「あぁ。」


短い返事。

真央はゆっくり頷く。


真央「理性は飛んでたか。」


紫月「飛んでた。」


真央は一度だけ目を閉じ、小さく息を吐いた。


真央「やっぱりか。」