紫月「……妙だな。」


その一言で笑い声が止まる。


那瑠「何が?」


紫月は少しだけ目を細めた。


紫月「喧嘩の動きだ。」


綾人も真尋も紫月を見る。


紫月「あの踏み込み、空いての力を逃がす受け方、無駄のない体重移動」



一つひとつ思い返すように言葉を並べる。


紫月「どこかで見た。」


真尋「知ってる奴なのか?」


紫月は首を横へ振る。


紫月「思い出せない。」


だけど胸の奥に引っ掛かる。

あの構えにあの目。

あの喧嘩は、一朝一夕で身に付くものじゃない。


紫月「……気になる。」


その時だった。

ガチャッ!!

勢いよく倉庫の扉が開く。

全員が一斉に振り向く。