綺羅「……よかった。」


震える声。

そのまま真尋の服をぎゅっと握り締める。


綺羅「……よかったぁ。」


堪えていたものが溢れるように泣き始めた。

真尋は何も言わない。

ただ背中へそっと手を添え、一定のリズムで優しく撫で続ける。

倉庫には綺羅の泣き声だけが静かに響いていた。

少しずつ。

本当に少しずつ。

綺羅の震えが収まっていく。

安心したように真尋へ身体を預けると、そのまま力が抜けた。


真尋「……寝た。」


小さく呟く。

綺羅は真尋の胸へ顔を埋めたまま、静かな寝息を立て始めていた。


那瑠「寝るんかい……。」


思わず力の抜けた声が漏れる。

綾人も苦笑しながら肩を竦める。

張り詰めていた空気が少しだけ和らぐ中、星那だけは黙ってその光景を見つめていた。

その視線は穏やかだった。

けれど胸の奥には、今まで感じたことのない小さな引っ掛かりが静かに残っていた。