逃げられてもいい。

拒まれてもいい。

そう思いながら、そっと綺羅を抱き寄せる。

一瞬、綺羅の身体が強張った。


真尋「大丈夫。」


耳元で静かに囁く。


真尋「俺、生きてる。」


その一言に、綺羅の肩がびくりと震えた。


真尋「ほら。ちゃんとここにいる」


抱き締める腕に力を込める訳じゃない。

安心できるように。

震えが伝わるくらいの優しさで包む。


綺羅「……るう?」


涙で滲んだ瞳がゆっくり真尋を見上げる。

真尋は小さく首を横へ振った。


真尋「違うよ。」


少しだけ微笑む。


真尋「でも、生きてる。」


その言葉を聞いた瞬間だった。

綺羅の瞳から大粒の涙が溢れ落ちる。