車がゆっくりと倉庫の前で止まる。


橘「着きました。」


エンジンが切られると、静寂が辺りを包んだ。

星那は綺羅を起こさないよう、ゆっくりと車を降りる。

腕の中の綺羅は小さく寝息を立てたまま目を覚ます気配はない。


那瑠「全然起きねぇな。」


綾人「無理もねぇだろ。」


あれだけ泣いて、あれだけ暴れた。

身体も心も限界だったはずだ。

真尋は車から降りると、無意識に綺羅の寝顔へ目を向ける。

昼間とは別人みたいに穏やかな表情だった。


真尋「……。」


どうしても気になってしまう。

あの涙の理由が。

あの「ごめん」の意味が。

星那は何も言わず倉庫の扉を開け、中へ入っていった。