それでも綺羅は止まらなかった。
目の前の男を殴る。
倒れる。
また別の男が来る。
殴る。
倒れる。
何人倒したのか、自分でも分かっていない。
綺羅「ごめん……。」
小さな声が漏れる。
綺羅「ごめんね……。」
拳を振るうたびに涙が落ちる。
綺羅「守れなくて、ごめん……。」
その姿を見ていた星那は、小さく眉を寄せた。
違和感。
綺羅は勝つために戦っているんじゃない。
誰かを倒したくて戦っている訳でもない。
これは――。
星那「……違う。」
小さく呟く。
「あの人、喧嘩してるんじゃない。」
星那の視線の先で、綺羅は涙を流しながら拳を振るい続けていた。
まるで、もうそこに敵しか見えていないかのように。



