「やりやがった!」


他校の男達が一斉に綺羅へ向かって走り出す。

綺羅は一歩も動かない。

ただ静かに立っている。

男が拳を振り下ろした。

その拳は空を切る。

気付いた時には綺羅は男の懐へ入り込んでいた。

鳩尾へ肘を打ち込む。

崩れた身体を片手で受け流し、そのまま背後から来た男の蹴りを避ける。

迷いがなく無駄がない。

まるで何百回も繰り返してきた動きだった。

紫月は無言でその姿を見つめる。


真尋「紫月……。」


紫月「……。」


返事はない。

だけど、その視線は綺羅から一度も離れなかった。


那瑠「普通じゃねぇ……。」


綾人「あれ、完全に喧嘩慣れしてる。」


誰の目にも明らかだった。

この強さは偶然じゃない。

積み重ねてきたものだ。