紫月達が校門へ出ると、野次馬だった生徒達も恐る恐る後を追い始めた。


「始まるぞ……。」


誰かが小さく呟く。

私はその声を背中で聞きながら歩き出した。

帰ろう。

今ならまだ間に合う。

ここで帰れば、もう何も見なくて済む。

そう思った、その時だった。

――ガシャンッ!!

ガラスが割れる音が校内へ響く。

続いて誰かの怒鳴り声。

そして。

鈍く何かを殴る音。

私は反射的に振り返ってしまった。

見たくない。

見ちゃ駄目だ。

頭では分かっている。

それなのに足だけが動かない。

視線の先では、校門前にいた人影が一斉にぶつかり合っていた。

喧嘩が始まった。

私は無意識に拳を握り締める。

胸の鼓動だけが、嫌になるほど速くなっていた。