そう決めたはずなのに。

校門の方から聞こえる怒号は、嫌でも私の足を止めた。


「紫月ァ!!」


「出てこい!!」


校舎中に響き渡る怒鳴り声。

昼休みだった校内はいつの間にか騒然としていて、廊下には様子を見ようとする生徒達が集まり始めていた。

私はその横を通り過ぎる。

見なくていい。知らなくていい。

もう私には関係のない世界なんだから。

そう言い聞かせながら階段へ向かう。

だけど、一歩進む度に騒ぎは大きくなっていく。

胸の奥が落ち着かない。

懐かしいなんて思いたくない。

なのに、身体だけはあの日々を覚えていた。

喧嘩が始まる前の空気。

張り詰めた緊張感。

全部……忘れたはずなのに。