しばらく抱きしめ合ったあと、綺羅はそっと身体を離した。

そのつもりだった。

でも。離れない。

星那の腕は、まだ綺羅を抱きしめたままだった。

綺羅は思わず笑ってしまう。


綺羅「星那?」


星那「……もうちょっと。」


その声があまりにも甘えていて、胸がきゅっとなる。

こんな姿、きっと誰も知らない。

学校のみんなが見たら驚くだろう。

無口で、眠そうで、誰にも心を開かなかった星那。

そんな彼が今は、私にだけこんな顔を見せてくれる。

……ずるい。

こんなの、もっと好きになるに決まってる。

綺羅は星那の背中へそっと腕を回した。


綺羅「しょうがないなぁ。特別だからね。」


星那は綺羅の肩へ顔を埋める。


星那「……うん。」


その返事が嬉しくて、綺羅は優しく髪を撫でた。

“この時間が終わらなければいいのに。”

そんなことまで思ってしまうくらい、幸せだった。