モールの中を歩いていると、一台のプリクラ機が目に入った。

綺羅は思わず足を止める。

学生らしいカップルが楽しそうに笑っている。

いいな。そう思った瞬間、自分でも少し驚いた。

昔の私は、あんなふうに笑う人たちを横目で見るだけだった。

“自分には関係ない。”そう思っていたのに今は違う。

隣には星那がいる。一緒に笑いたいと思える人がいる。

綺羅は少し照れながら星那を見上げた。


綺羅「プリクラ……撮る?」


星那はプリクラ機を見て、それから綺羅を見る。

少しだけ考えてから、小さく頷いた。


星那「撮る。」


その返事だけで嬉しくなる。

二人で狭い機械の中へ入る。

画面には、『もっとくっついて♡』の文字。

綺羅は思わず苦笑した。


綺羅「だって。」


星那は画面を見て、それから何の迷いもなく綺羅の肩を抱き寄せる。


綺羅「ちょ、ちょっと……!」


近い。近すぎる。肩どころか、体温まで伝わってくる。

心臓の音、聞こえてないかな。

お願いだから聞こえないで。

シャッターが切られる。

その瞬間。


星那「笑って。」


耳元で聞こえた優しい声に、綺羅は自然と笑っていた。