店を出ても、綺羅の顔の熱は引かなかった。

「かわいすぎる。」たった一言なのに、何度も頭の中で繰り返される。

隣を見ると、星那は何事もなかったように歩いている。

きっと本人は、あんなに破壊力がある言葉を言った自覚なんてない。

それがまた悔しい。

すると突然、星那が立ち止まった。


綺羅「どうしたの?」


星那はアクセサリーショップを見つめている。

ショーケースには、お揃いのシンプルなリング。

星那はそのリングを見つめたまま、小さく呟いた。


星那「……これ。」


綺羅「うん?」


星那「恋人っぽい。」


綺羅は思わず吹き出した。

その一言だけで、星那が何を考えているのか全部伝わる。

“お揃いにしたい。”

照れくさくて言えないだけ。

そんな星那が、たまらなく愛おしかった。


綺羅「じゃあ、見てみよっか。」


そう言うと、星那は嬉しそうに小さく笑った。

その笑顔は、綺羅だけが知っている特別な笑顔だった。