?「今日の転校生、随分目立ってたな」


その言葉に倉庫の中の視線が一人へ集まる。

中心に座っていた男は何も答えなかった。

窓から差し込む夕陽が横顔を照らす。相変わらず無表情だ。


?「そりゃ目立つでしょ」


そう言って笑ったのは那瑠だった。

古びた机の上に腰掛けながらスマホを弄っている。


那瑠「月ヶ瀬初の女子生徒だよ? しかもあれだけ可愛い」


?「お前それしか見てねぇだろ」


綾人が呆れたように言う。

那瑠は悪びれる様子もなく肩を竦めた。


那瑠「だって事実じゃん」


綾人「お前絶対話しかけに行くなよ」


那瑠「なんで」


綾人「面倒になるから」


そんなやり取りを聞きながら真尋は小さく笑った。

いつもの事だった。

那瑠と綾人は顔を合わせればこんな調子だ。

だから誰も止めない。

その時だった。


那瑠「で?紫月はどう思った??」


那瑠がふと紫月を見る。

倉庫の空気が少しだけ静かになった。

誰もが答えを待っている。

だけど紫月は窓の外へ視線を向けたまま短く答えた。


紫月「別に」


予想通りの返事だった。