玄関の扉を開ける。

帰るはずなのに、星那は一歩も動かなかった。

綺羅は少し首を傾げる。


綺羅「どうしたの?」


星那は少しだけ照れたように笑う。

そして、綺羅の両手をそっと包み込んだ。


星那「……今日。分かった。」


綺羅は静かに耳を傾ける。


星那「安心して眠れる場所は。」


少しだけ照れながら、それでも真っ直ぐ綺羅を見つめる。

星那「家じゃなくて。綺羅だった。」


その一言に、綺羅の胸が熱くなる。

嬉しくて、愛おしくて。自然と笑みがこぼれた。

綺羅は一歩近付き、そっと星那を抱きしめる。


綺羅「じゃあこれからも、いっぱい帰っておいで。」


星那も優しく抱きしめ返した。


星那「……うん。ただいま。」


綺羅は幸せそうに目を細める。


綺羅「おかえり。」


それは、二人だけの合言葉。

“HOME”とは、建物のことじゃない。

心から安心できる、大切な人が待っている場所。

二人にとってのHOMEは、もうずっと前から、お互いの隣だった。

──番外編①『HOME』 完