抱きしめ合ったまま、どれくらい時間が経っただろう。

綺羅はふと時計を見て、小さく笑った。

もう昼前だった。

何もしなくても、二人でいるだけで時間はあっという間に過ぎていく。

そんな何気ない時間さえ、今は大切に思えた。

綺羅はゆっくり身体を離す。


綺羅「そろそろ買い物行こっか。」


星那「……うん。」


そう返事をしたのに星那はまだ綺羅の手を離さない。

綺羅は繋がれた手を見て笑う。


綺羅「手。」


星那「?」


綺羅「離してくれないと準備できないよ。」


星那は少し困ったような顔になる。


星那「……やだ。」


綺羅は思わず吹き出した。

付き合う前は、こんなふうに自分の気持ちを口にする人じゃなかった。

今は「離れたくない」がそのまま言葉になる。

その変化が嬉しくて、胸がじんわり温かくなった。


綺羅「じゃあ、一緒に準備しよ?」


その言葉に、星那は安心したように小さく笑った。