抱きしめ合ったまま、静かな時間が流れる。
時計の音だけが小さく響く部屋。
こんなにも穏やかな時間が、自分にも訪れるなんて思ってもみなかった。
復讐だけを見ていた頃の自分なら、この幸せを信じられなかっただろう。
でも今は違う。
腕の中には、大切な人がいる。守りたいと思える人がいる。
綺羅「ねぇ、星那。」
星那「?」
綺羅「幸せ?」
その質問に、星那は少しだけ顔を上げた。
そして迷うことなく微笑む。
星那「……幸せ。今が、一番。」
その笑顔を見た瞬間、綺羅の胸がいっぱいになる。
もう十分だった。その一言だけで、自分がここまで歩いてきた意味があったと思えた。
綺羅はもう一度だけ、星那をぎゅっと抱きしめる。
綺羅「私も。今が、一番幸せ。」
その言葉に安心したように、星那は小さく笑った。
その笑顔は、綺羅だけに見せる、とても穏やかな笑顔だった。



