映画が始まって十分ほど。

画面では盛り上がるシーンが流れている。

でも綺羅の意識は映画より隣にいた。

さっきから星那の視線を何度も感じる。


綺羅「……映画観てる?」


星那「観てる。」


綺羅「嘘。さっきから私しか見てないじゃん。」


星那は否定せず、小さく頷いた。


星那「……綺羅の方がいい。」


綺羅は吹き出してしまう。


綺羅「映画が可哀想(笑)」


二人で笑い合う。

その笑い声が落ち着くと、星那は少し遠慮がちに口を開いた。


星那「……くっついていい?」


付き合う前なら、何も言わずにもたれ掛かっていた。

でも今は恋人だからこそ、ちゃんと聞いてくれる。

その優しさが嬉しかった。

綺羅は微笑みながら、自分の肩を軽く叩く。


綺羅「おいで。」