夕飯の支度を始めると、星那は大人しくキッチンの前に立って綺羅を眺めていた。
包丁の音。鍋から立ち上る湯気。
そんな何気ない景色が、とても温かい。
綺羅は野菜を切りながら、小さく笑う。
綺羅「そんなに見られると緊張するんだけど。」
星那「……かわいい。」
包丁を持つ手が止めて綺羅はゆっくり振り返った。
綺羅「料理してるだけだよ?」
星那「うん。」
星那「でも、かわいい。」
綺羅は顔を真っ赤にしながら額を押さえる。
綺羅「今日の星那、本当に反則……。」
その様子を見て、星那は少しだけ嬉しそうに笑った。
その笑顔を見た綺羅も、つられて笑う。
こんな何気ない時間が、こんなにも幸せだなんて。
少し前の自分には、想像もできなかった。



