綺羅がコーヒーを差し出すと、星那は「ありがとう」と小さく呟き、マグカップを受け取った。

二人並んでソファへ座る。テレビはつけない。

窓の外から聞こえる車の音と、時計の針が進む音だけが部屋に流れていた。

それなのに、不思議なくらい心地いい。

綺羅はコーヒーを一口飲みながら、そっと星那を見る。

付き合う前なら、こんな静かな時間でも少しぎこちなかったかもしれない。

でも今は違う。

隣にいることが当たり前みたいで、何も話さなくても落ち着く。

そんな空気が嬉しかった。

ふと視線を向けると、星那がじっと綺羅を見ている。


綺羅「なに?」


星那「……見てた。」


綺羅「なんで?」


星那「好きだから。」


あまりにも自然に言われて、綺羅は飲みかけのコーヒーでむせそうになった。


綺羅「ちょっ……!心臓止まるって……。」


星那は不思議そうに首を傾げるだけだった。