綺羅はバッグをソファへ置くと、キッチンへ向かった。


綺羅「何飲む?」


星那「綺羅と一緒。」


綺羅「じゃあコーヒーね。」


お湯を沸かしている間、星那は静かに部屋を見回す。

恋人として初めて訪れる綺羅の家。

何度か来たことはある場所なのに、今日は少し違って見えた。

綺羅はコーヒーを淹れながら振り返る。


綺羅「どうしたの?」


星那「……落ち着く。」


綺羅「この部屋?」


星那は静かに首を横へ振った。


星那「綺羅がいるから。」


綺羅の手が止まる。

思わず顔を隠した。


綺羅「もう……付き合った途端、甘すぎ。」


星那は不思議そうに首を傾げる。


星那「そう?」


綺羅は照れ笑いを浮かべながらカップを二つ持ち、ソファへ向かった。


綺羅「その無自覚が一番ずるい。」


二人は自然と隣同士に座る。

肩がそっと触れ合う距離。

その温もりだけで、お互い自然と笑顔になっていた。