コーヒーの香りが部屋に広がる。

二人はソファへ並んで座った。

テレビはつけない。

流れるのは静かな時間だけ。

綺羅はマグカップを両手で包みながら笑う。


綺羅「静かだね。」


星那「……うん。でも好き。」


綺羅「ふふっ私も。」


沈黙さえ心地いい。

無理に話さなくてもいい。

隣にいるだけで安心できる。

そんな時間だった。

星那はそっと綺羅の肩へ頭を預ける。

綺羅は驚くこともなく、小さく笑ってそのまま受け止めた。

優しく髪を撫でる。

星那は目を閉じ、小さく呟く。


星那「……帰ってきた。」


綺羅「え?」


星那は安心したように微笑む。


星那「やっと帰る場所見つけた。」


綺羅の瞳が優しく揺れる。

その言葉の意味が、痛いほど伝わってきた。